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事実の概要

P高校に在学する少年AおよびB(当時17歳)は、全国に頻発した学園紛争に刺激され、校舎の一部をバリケード封鎖し、籠城することを企図した。同校内に結成された叛軍闘争委員会のメンバー数名とともに、夜間、校舎内に侵入し、封鎖作業を開始したが、まもなく校務員に発覚した。警察への通報を恐れたメンバーは各々逃走を図ったが、AはBを伴い、日本キリスト教団Q教会敷地内の住宅に戻った(Aの母親は同教会の信徒であったが、附属幼稚園で働いていた縁もあり、敷地内の会館にて母子ともに居住していた)。所轄警察署が2名の所在捜査に着手するなか、(父親不在のため)Aの保証人を務めることもあったQ教会牧師X(被告人)は、母親の依頼に基づいて両少年と面談、事件への関与を知りつつも、彼等の魂への配慮(牧会活動)の重要性に鑑み、同教団R教会牧師Cに連絡し、労働および反省を通じた指導を依頼した(R教会への移動に同行)。Xは、Q教会に所轄警察署員が来訪した際も、両少年の所在は知らない旨回答し、学校に対してもこれを知らせなかった。事件から約10日後、Xは、(牧師Cによれば)両名に反省し落ち着いた様子がみえることから、学校および警察に出頭させるに適当な時機であると判断、Xおよび牧師Cの説得に応じた両少年は、登校の上、所轄警察署に出頭した。その後、Xは、両名が建造物侵入等の事件の容疑者として、現に所轄警察署が捜査中であることを知りつつ、R教会に宿泊させた行為について、犯人蔵匿罪を理由に逮捕され、略式命令(罰金1万円)を命じられたが、これを不服とし、正式裁判を請求した。¶001