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事実の概要

X(塩見日出―原告・控訴人・上告人)は、朝鮮が日本の植民地下にあった1934(昭和9)年、朝鮮戸籍の両親の長女として大阪市で出生し、日本国籍となった。Xは、2歳のときに麻疹に罹患して、両眼を失明。第二次大戦後、1952(昭和27)年、対日講和条約の発効に伴い日本国籍を喪失し、大韓民国籍となったものの、日本での居住は続けている。¶001

1959(昭和34)年、国民皆年金制度の創設を目的に、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の日本国民を対象に、老齢・障害・死亡に関する年金制度を定めた国民年金法(以下、「法」という)が制定され、11月1日に施行された。障害年金について同法は、拠出制を基本とした上で(30条)別表に定める1級の廃疾状態にある場合に、保険料納付要件を緩和している(障害福祉年金、56条1項本文)。また、上記法施行日に20歳以上である者が、同施行日以前に治癒した傷病により、同じく施行日において1級の廃疾状態にある場合は、「第56条第1項本文の規定にかかわらず」(同条項の支給要件を満たさない場合においても)、障害福祉年金を支給すると定めていた(障害福祉年金の特別支給、81条1項)。法は、いわゆる国籍条項を設けており、56条1項但書においても、「廃疾認定日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは」支給しないとしていた。¶002