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Ⅰ はじめに

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、独占禁止法における優越的地位の濫用規制を補完する法律であり、簡易な手続により迅速かつ効果的な執行を図るために、その適用対象を、①当事者の規模に関する基準(以下「当事者規模基準」という)及び②委託取引の類型から形式的に定めている。このうち当事者規模基準は、優越的地位の濫用規制における「優越的地位」に相当する当事者間の力関係の認定を簡略化するものであり1)、形式的な基準により保護対象である「下請事業者(中小受託事業者)」を定義すると共に、その対概念として、規制対象である「親事業者(委託事業者)」を定義している。¶001