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事実の概要

裁判官Y(被訴追者)は、東京高裁判事時に、裁判官であることが他者から認識することができ、不特定多数の者が閲覧可能な状態でのSNS投稿等次の2つの行為群につき、裁判官弾劾法(昭和22年法律137号。以下「法」という)2条2号の定める罷免事由に該当するとして、令和3年6月16日、裁判官訴追委員会により罷免の訴追を受けた。①Yは、平成29年12月13日頃、ツイッター(現「X」)上のYの実名が付された自己のアカウントにおいて、Yの担当外である特定の刑事事件判決を閲覧することができる裁判所ウェブサイトのURLと共に、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」、「そんな男に、無残にも殺されてしまった17歳の女性」との投稿(以下「投稿1」)を掲載した。Yは、同刑事事件被害者遺族の抗議を受けて投稿1を削除したが、その後同投稿に係るツイッターやブログ投稿等を行った。Yはこの間、投稿1につき東京高裁長官から厳重注意処分を受けたが、令和元年11月12日、Yの実名が付されたアカウントのフェイスブックにおいて、「裁判所が判決書をネットにアップする選別基準」で始まる文書を投稿・掲載(以下「投稿2」)し、そこでは上記刑事事件被害者遺族が「東京高裁を非難するのではなく、そのアップのリンクを貼った俺を非難するようにと、東京高裁事務局及び毎日新聞に洗脳されてしまい」などと記されていた。Yは同月15日と18日、「洗脳」という表現を謝罪する文書と同表現使用の経緯に関する文書を、フェイスブックとブログに投稿・掲載した。②平成30年5月17日、Yは、控訴審判決で確定した犬の返還請求等に係る自身の担当外の民事訴訟(犬事件)に関して、同事件についての報道記事を閲覧できるウェブサイトを引用しつつ、上記ツイッター上のアカウントにおいて、「え? あなた? この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・/裁判の結果は・・」(「/」は改行箇所)などと記した文章を投稿・掲載した(以下「投稿3」)。同投稿後、同民事訴訟の原告は東京高裁に対しYからの謝罪等を求めて抗議し、東京高裁はYの同投稿につき分限裁判を申し立てたが、Yは、同年7月と翌年1月にも上記民事訴訟に係るブログ投稿を掲載した。¶001