FONT SIZE
S 文字の大きさを変更できます
M 文字の大きさを変更できます
L 文字の大きさを変更できます

事実の概要

X1(朝日茂氏―原告・被控訴人・上告人)は、国立の療養所に単身の肺結核患者として入所し、生活保護法に基づき厚生大臣(当時)の設定した生活扶助基準で定められた最高金額である月600円の日用品費の生活扶助と現物による全部給付の給食付医療扶助とを受けていた。ところが、X1は実兄から扶養料として毎月1500円の送金を受けるようになったために、市の社会福祉事務所長は、月額600円の生活扶助を打ち切り、上記送金額から日用品費を控除した残額900円を医療費の一部としてX1に負担させる旨の保護変更決定をした。同決定が県知事に対する不服の申立ておよびY(厚生大臣―被告・控訴人・被上告人)に対する不服の申立てにおいても是認されるにいたったので、X1は、Yを相手取って、600円の基準金額が生活保護法の規定する健康で文化的な最低限度の生活水準を維持するにたりない違法なものであると主張して、東京地裁に、Yが下した不服申立却下裁決の取消しを求める裁決取消請求訴訟を提起した。¶001