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事実の概要

(1)

少年A(申立人)は、平成元年2月15日、業務上過失傷害、道路交通法違反の容疑で緊急逮捕され、翌日、検察官の観護措置請求に基づき(少43条)、京都少年鑑別所に収容された後、同月21日、京都家庭裁判所に送致され、第1回審判が開かれたところ、即日観護措置が取り消され、鑑別所を出所することになった。その後、京都家庭裁判所は、3回の審判を開いた後、非行事実なしとの理由で保護処分に付さない旨の決定をした(平成元・3・28決定)。¶001

(2)

そこで、Aは、刑事補償法に基づき逮捕されてから観護措置が取り消されるまで7日間の拘束に対する刑事補償と、刑事訴訟法188条の2に基づき費用補償を請求した。京都地裁は、少年保護手続と刑事手続とはその理念を異にし、保護手続における非行事実なしとの理由による不処分決定を無罪の裁判と同視することができないなどの理由から刑事補償法、刑事訴訟法188条の2を適用ないし準用して刑事補償の対象とすることはできないとして、Aの請求を棄却した(京都家決平成元・6・30刑集45巻3号〔参〕164頁)。Aは、即時抗告したが、大阪高裁も抗告を棄却した(大阪高決平成元・9・22前掲刑集〔参〕166頁)。¶002