FONT SIZE
S 文字の大きさを変更できます
M 文字の大きさを変更できます
L 文字の大きさを変更できます

事実の概要

被告人は、昭和33年10月11日未明、無免許のうえ酒気を帯びて小型乗用車を運転中、速度超過と前方不注意によって自転車に乗っていた被害者に追突して重傷を負わせたにもかかわらず、法令で規定されていた被害者の救護措置を執らず、また、警察官への報告を行うことなく、事故現場から逃走した(被害者は約3時間後に死亡)。¶001

当時の道路交通取締法(昭和22年法律130号)は、24条1項で、交通事故の際、交通機関の操縦者などが講じなければならない措置を命令に委任していた(違反者に対する罰則は28条1号)。この委任をうけて、同法施行令(昭和28年政令261号)は、67条1項で、被害者の救護などの義務を、同条2項で、「事故の内容及び……講じた措置を……警察官に報告」する義務を、それぞれ規定していた。そこで被告人は、業務上重過失致死罪(刑211条後段)に加えて、無免許運転および救護・報告義務違反の罪に問われた。¶002