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▶ 事実
Y(被告・被控訴人=控訴人・被上告人)は、昭和42年7月から平成24年9月まで株式会社X(原告・控訴人=被控訴人・上告人)の監査役であった(Xは、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款に定めているものとみなされていた)。ところが、Xの経理担当職員Aは、平成19年2月から平成28年7月までの10年近くにわたり、Xの当座預金口座(本件口座)から横領した。その間、Yは、第50期(平成19年5月31日決算)の監査の際はカラーコピーで精巧に偽造された預金残高証明書を確認したものの、それ以降の年度は偽造された残高証明書の白黒コピーを確認するにとどまった。Yの任務懈怠により、Aによる横領の発覚が遅れたとして、XはYに対して損害賠償請求した。¶001