事実の概要
X(原告・控訴人)は『今日の治療薬 解説と便覧2007』(以下、「X書籍」)を出版する株式会社であり、X書籍の共有著作権者である。X書籍は、医師・薬剤師等の医療従事者向けに、薬剤を分類し、薬剤情報を掲載した薬剤便覧と、分類された薬剤群の解説を掲載した書籍である。X書籍の便覧部分は、一般薬について、「薬剤名」、「組成・剤形・容量」、「用量」、「備考」の4つの項目欄を設け、漢方薬については、「薬剤名」、「組成・容量・〔1日用量〕」、「備考」の3つの項目欄を設け、各薬剤について一覧表形式により薬剤情報を掲載している。Y(被告・被控訴人)は『治療薬ハンドブック2008 薬剤選択と処方のポイント』(以下、「Y書籍」)を出版する株式会社である。Y書籍は、X書籍と同種の書籍であり、一般薬および漢方薬の各薬剤について、「品名、規格単位」、「適応、用法・用量」、「警告、禁忌、副作用等」の3つの項目欄と適宜「臨床情報」の項目欄を設け、各薬剤について一覧表形式により薬剤情報を掲載している(以下、両書籍の一般薬に係る掲載部分を「一般薬便覧部分」、漢方薬に係る掲載部分を「漢方薬便覧部分」、両者を併せて「便覧部分」と呼ぶ)。Xは、X書籍の便覧部分が編集著作物に該当し、X・Y書籍の便覧部分が類似しているから、Yの行為がXの編集著作権を侵害すると主張し、Yに対し、損害賠償を請求した。原審(東京地判平成24・8・31〔平20(ワ)29705号〕)がXの請求を棄却したため、Xが控訴した。¶001