FONT SIZE
S
M
L

 事実の概要 

Xら(原告・控訴人・被上告人)は、音楽教室の運営者である。Y(被告・被控訴人・上告人)は、著作権等管理事業法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権管理事業者(JASRAC)であり、著作権者から著作権の信託を受けるなどして音楽著作物(以下「本件管理著作物」という)の著作権を管理している。¶001

本件は、Xらが、Yを被告として、Xらの音楽教室における本件管理著作物の演奏についてYが本件管理著作物の著作権(演奏権)の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等を有しないことの確認を求めた事案である。本件の主たる争点は、Xらが本件管理著作物の利用主体となるか否かである。第一審(東京地判令和2・2・28判時2519号95頁参照)は、教師と生徒の演奏の双方についてXらが利用主体となると判断し、Xらの請求を棄却した。原審(知財高判令和3・3・18前掲判時73頁)は、教師の演奏についてのみXらが利用主体になると判断し、Xらの請求を一部認容した。X・Y双方が上告。上告審は、Yの上告受理申立てのみを受理し、生徒の演奏についてXらが利用主体となるか否かを判断した。¶002