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事実の概要

(1)

Xら(原告・被控訴人―三島由紀夫の相続人〔長女および長男〕)は、小説『三島由紀夫――剣と寒紅』(以下「本件書籍」という)を発行したYら(被告・控訴人―出版社Y1、第一出版局長Y2および執筆者Y3)に対して、本件書籍には、三島由紀夫が交際相手であるY3宛てに書いた未公表の手紙および葉書15通(以下「本件各手紙」という)が掲載されており、Yらの行為は、①本件各手紙の複製権を侵害し、②三島由紀夫が存しているとしたならばその公表権の侵害となるべき行為であると主張して、本件書籍の出版・頒布等の差止め、廃棄、損害賠償の支払および謝罪広告の掲載を請求した。これに対して、Yらは、本件各手紙は、いずれも純然たる実用文であって、誰にでも書けるような文章であり、創作性、創造性が認められず、文芸の範囲には属さないから、著作物ではない等と反論した。¶001