FONT SIZE
S 文字の大きさを変更できます
M 文字の大きさを変更できます
L 文字の大きさを変更できます

 事実の概要 

沖縄防衛局は、普天間飛行場の辺野古移設のための公有水面の埋立てに関し、地盤改良工事を行う必要が生じたため、埋立地の用途および設計の概要に係る変更の承認の申請(以下「本件変更申請」という)をしたが、沖縄県知事Y(被告)は、承認の要件を定める公有水面埋立法の規定(42条3項、13条ノ2第1項・2項、4条1項1号・2号。以下「本件各規定」という)に適合しないとして、不承認処分(以下「本件変更不承認」という)をした。沖縄防衛局は、地方自治法255条の2第1項1号に基づき、国土交通大臣X(原告)に審査請求したところ、本件変更不承認を取り消す旨の裁決(以下「本件裁決」という)がされた。しかし、Yはその後も本件変更申請を承認しなかったため、Xは沖縄県に対し、本件変更申請を承認するよう是正の指示(自治245条の7第1項。以下「本件指示」という)をした。Yは国地方係争処理委員会に審査の申出をしたが、本件指示は違法でないと認める旨の審査結果の通知を受け、地方自治法251条の5第1項1号に基づき、本件指示の取消しを求めて出訴した。最判令和5・9・4(民集77巻6号1219頁)(以下「令和5年最高裁判決(最判)」という)は、「法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当する」として、本件指示は適法であるとした。しかし、Yはその後も本件変更申請を承認しなかったことから、XはYに対し、地方自治法245条の8第1項に基づく勧告をし、さらに同条2項に基づく指示をしたが、Yが従わなかったため、同条3項に基づき、本件変更申請を承認すべきことを命ずる旨の裁判を求めて出訴した。¶001