事実の概要
Y(被告・被控訴人・被上告人)は、地方住宅供給公社法(以下「公社法」という)にいう地方住宅供給公社(以下「地方公社」という)であり、神奈川県下において、多数の住宅を賃貸している。Xら(原告・控訴人・上告人)は、それぞれ、Yから一棟の建物のうちの一室を賃借している。Yは、平成16年4月から平成30年4月までの間、おおむね3年ごとに、各室の家賃を改定する旨を通知した(以下「本件各家賃改定」という)。その結果、月額3万9530円ないし5万6350円であった家賃は、最終的に月額6万1950円ないし8万6910円になるものとされた。Xらは、Yに対し、本件各家賃改定による家賃変更のうち適正賃料を超える部分は効力を生じないなどと主張して、家賃の額の確認を求めるとともに、変更後の家賃を支払ってきたことを理由に不当利得返還請求権に基づいて過払家賃の返還等を求めた。第一審(横浜地判令和3・11・17)は、「Yと各Xらとの間に生ずる公社住宅の使用関係は、賃貸借関係であるものの、その家賃の額については、公社法及び施行規則等の法令の規定を根拠として、Yにおいて、……定めるものとされており、一般の賃貸借契約のように、賃貸人と賃借人との間の合意によって定めることはできないから、その家賃の額の定めないし増減額変更に関する賃借人の権利を認める民法及び借地借家法の規定が適用されるとはいえない」と判示してXらの請求を棄却した。控訴審判決(東京高判令和4・5・25)もほぼ同様の判旨によりXらの請求を棄却した。Xらが上告受理申立て。¶001