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事実の概要

税理士であるX(原告・控訴人・上告人)は、日本税理士会連合会を保険契約者、Y(被告・被控訴人・被上告人)ほか1社を保険者、Xを被保険者とする税理士職業賠償責任保険(以下、この保険に係る契約を「本件保険契約」という)に加入した。本件保険契約の保険期間中に、Xは、訴外A有限会社から委任を受け、Aの消費税(地方消費税を含む。以下同じ)の申告(本件申告)に係る手続を行ったが、Xは、(平成13年法律6号による改正前の)消費税法37条2項に規定する簡易課税制度選択不適用届出書(不適用届出書)の提出をせず、簡易課税制度によらない課税方式(一般の課税方式)で消費税額を算定し、これに基づき本件申告の手続を行った。ところが、Aは、(平成13年法律6号による改正前の)消費税法37条1項の規定の適用を受ける旨を記載した簡易課税制度選択適用届出書を既に提出していたので、本件申告に当たっては、上記各課税期間の初日の前日までに不適用届出書を提出しない限り、同条に定める簡易課税制度による申告をしなければならなかったところ、Aの上記各課税期間の消費税については、一般の課税方式によって算定された消費税額の方が、簡易課税制度が適用されるものとして算定された税額よりも低額であったため、本件申告を受けた税務署長は、Aに対し、本件申告に係る消費税額を簡易課税制度を適用して算定された額とする旨の増額の更正をした。Aが、Xの上記行為により、更正によって増額された消費税額相当額等の損害を被ったとして、Xに対し損害賠償を請求した。そこで、簡易課税制度選択適用届出書が提出されていたことの調査を怠り、不適用届出書の提出を怠ったために、Aに与えた損害は本件保険契約により塡補されるべきであるとして、XがYに対し、更正額と申告額の差額に相当する保険金等の支払を求めたのが本件である。¶001