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事実の概要

2000(平成12)年9月に出生したX1は、喉頭軟化症等のため気管切開手術を受けた後、カニューレ(のどに開けた穴に常時装着して気管への空気の通り道を確保する器具)を装着し、気管内にたまる痰や唾液を定期的に吸引器を用いて吸引し、また誤嚥を避けるために水分にとろみをつけることが必要な状態である。その父X2(原告)が児童福祉法(以下、「児福法」という)24条1項(平成20年法律85号による改正前のもの)に基づき保育所への入所申込みをしたところ、Y(東大和市)の福祉事務所長は、X1について保育所で適切な保育を確保することは困難であるとして、2005(平成17)年2月と3月、入所を承諾しない処分を行った(以下、「本件各処分」という)。X2は、Yを被告に本件各処分の取消しと、入所申込みをした5つの保育所のうちいずれかへの入所を承諾する処分の義務付けを求める訴えを提起した(同時に仮の義務付けを申し立て、さらに、入所申込みをめぐるYの職員の対応等により損害を被ったとして国家賠償も請求しているが、紙幅の都合上これらの解説は割愛する)。¶001