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事実の概要

Y(被告・控訴人・上告人)は、運転していた自動車をA(当時62歳)に衝突させ(以下、この事故を「本件事故」という)、即死させた。Aの妻X(原告・被控訴人・被上告人)らは自賠法3条に基づきYに対して損害賠償を請求した。Aは、本件事故当時、地方公務員等共済組合法(昭和60年法律108号による改正前のもの。以下「地公共法」という)に基づく退職共済年金等を収入として得ていた。第1審は、Yの賠償責任を認め、Aが本件事故に遭わなければ平均余命期間に得たであろう退職共済年金の金額等を基礎にしてAの逸失利益を算出し、このAの逸失利益等から成るAの損害賠償請求権をAの妻Xらが相続により承継したと判断した。この承継した権利からXが既に受給した遺族共済年金の額を控除した(慰謝料や過失相殺についての判断は省略する)。以上の判断のうち遺族共済年金の控除に関し、Yは、既払額に加え将来の給付額も控除すべきと主張したが、第1審はこの主張を退け、第2審も同様に判断した。Y上告。¶001