FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

診療所を経営する医師Aは、昭和57年11月16日、Y社(被告・控訴人・上告人)との間で、Y社のAに対する債権の回収のため、Aが同年12月1日から平成3年2月28日までの8年3か月の間に社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という)から支払を受けるべき各月の診療報酬債権の一定額分をY社に対して譲渡する旨の契約を締結し、昭和57年11月24日、基金に対し、上記契約について確定日付のある証書をもって通知をした。他方、仙台国税局長は、平成元年5月25日、国税の滞納処分として、Aが平成元年7月1日から平成2年6月30日までの間に基金から支払を受けるべき各診療報酬債権(以下「本件債権部分」という)を差し押さえ、基金に対してその旨の差押通知書が送達された。そのため、基金は、本件債権部分に係る各債権について、債権者不確知等を原因とし、被供託者をAまたはY社として、合計519万6009円を供託した。そこで、仙台国税局長は、上記各供託金についてのAの還付請求権を順次差し押さえた。そして、X(国―原告・被控訴人・被上告人)は、本件契約のうち譲渡が開始された昭和57年12月から1年を超えた後に弁済期が到来する各診療報酬債権に関する部分は無効であり、これに含まれる本件債権部分に係る各債権の債権者はAであると主張して、Xが差し押さえた各還付請求権について取立権を有することの確認を求めて訴えた。¶001