FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

鹿児島県揖宿郡において診療所を開設していたX(原告・控訴人・上告人)は、同地において病院の開設を企図し、鹿児島県知事Y1(被告)に対して医療法(平成9年法律125号による改正前のもの、以下同じ)7条1項に定める病院開設許可を申請した。鹿児島県は同法30条の3第1項に基づいて医療計画を定め、Xが開設を希望する医療圏の一般病床の必要病床数が813床であるのに既存病床数は1143床であった。Y1はXに対して同法30条の7の規定に基づき、平成9年12月1日付けで病院開設中止勧告(以下「本件勧告」という)を行った。Xがこれに従わないことをY1に通知したところ、Y1は12月25日に病院開設許可を与えた。その後、XはY1に対して病院使用許可(医療27条)を申請し、平成10年1月22日にY1は許可を与えた。さらにXは、その翌日に、健康保険法(平成10年法律109号による改正前のもの、以下同じ)43条ノ3第1項に基づき、本件病院を保険医療機関に指定するよう求める申請を行った。Y1は、弁明の機会の付与、鹿児島県地方社会保険医療協議会への諮問を経て、同年3月30日に同法43条ノ3第2項により本件申請を拒否する処分(以下「本件処分」という)をした。その理由は、開設予定地域が病床過剰地域であり、特に本件勧告が行われ、また昭和62・9・21保発69号厚生省保険局長通知等の趣旨に照らして、同項所定の指定拒否要件である「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」に該当するというものであった。¶001