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事実の概要

Y(日本郵政公社―被告・被控訴人)は、昭和59年に一般小包郵便物(「ゆうパック」)のサービスを開始し、平成15年には取扱個数において6%、売上金ベースで6.5%のシェアを有し、業界第5位の地位にあった。Yが平成16年10月1日から、ゆうパックを新たな料金体系でサービスを提供したところ、宅配便事業を営むX(ヤマト運輸株式会社―原告・控訴人。業界第1位)が、ゆうパックの料金は原価を下回っており、また、「Yの一般小包郵便物(ゆうパック)の価格設定は、Yの企業努力によって達成した低価格ではなく、税金の免除をはじめとする種々の優遇措置、独占事業である信書事業によって得られた利益からの補てん、国の信用を背景とする郵便貯金及び簡易保険事業の利益からの調整等によって成り立っており、一般小包郵便物(ゆうパック)単独では、大幅な赤字」であり、「『供給に要する費用』については、企業努力によらない特殊事情は考慮の外に置き、一般の独立業者が自らの責任で企業を維持するため経済上通常計上すべき費用を基準とすべきことは判例上確立している」として、Yのゆうパックのサービスの提供が独禁法19条が禁止する不公正な取引方法のうち不当廉売(旧一般指定〔昭和57年〕6項前段および後段)等に該当するとして、独禁法24条に基づく差止請求訴訟を提起した。原審(東京地判平成18・1・19判時1921号9頁)は、Xの請求を棄却した。これに対してXが控訴したのが本件である。¶001