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事実

Y1社(被告・控訴人・上告人)の退任取締役の退職慰労金の算定基準等を定めた内規(「本件内規」)では、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額(「基準額」)を基準としつつ、「在任中特に重大な損害を与えた」場合は基準額を減額できる旨の定め(「本件減額規定」)が置かれている。¶001

Y1社の代表取締役X(原告・被控訴人・被上告人)は、長期間にわたりY1社から社内規程所定の上限を超える額の宿泊費等を受領し、その発覚後は、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額をY1社に転嫁するとともに、社内規程違反の宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額した(「本件行為1」)。本件行為1は報道により社会一般に広く知れ渡った。また、Xは、長期間にわたり高額の交際費や出張支度金をY1社に支出させるなどした上に(「本件行為2」)、文化芸術活動の支援事業等のための高額の費用をY1社に支出させた(「本件行為3」)。¶002