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Ⅰ 同性カップルへの法的保護と犯罪被害者等給付金

近年、同性カップルへの法的保護をめぐる議論が活発になっている。そうした議論の中核には、言うまでもなく、同性間の婚姻を認めない現行民法の合憲性や、その改正の可能性といった論点がある。また、同性間の婚姻を認めないとしても、婚姻関係にあることで享受できる各種の法的権利を同性カップルに認める別の法的枠組みについても、多くの議論がある。現行法上婚姻に結びつけられた法的権利には多様なものがあるが、大きく、私法上のもの(財産、遺産相続、親子関係などに関わるもの)と、年金のような公的給付に関わるものに分けることができる。本稿は、このうち後者の場面について、最近の最高裁判例(最判令和6・3・26裁判所Web〔令和4年(行ツ)第318号・同(行ヒ)第360号〕。以下、「令和6年最判」ということがある)を素材として論じる。¶001