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Ⅰ はじめに

CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)が公表した「世界に伍する研究大学の在り方について 最終まとめ」(令和4年2月。以下「最終まとめ」という)では、10兆円規模の大学ファンドからの支援を予定した国際卓越研究大学制度の導入とともに、執行に関する監督機能や経営に関する重要事項の決定に権限を有する合議体の設置等(ガバナンス改革)が求められた1)。前者については、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律(令和4年法律第51号)により制度が整えられ、後者の合議体は国立大学法人法の改正(令和5年法律第88号)により運営方針会議として設置されることになった。運営方針会議は、理事の員数が7人以上の国立大学法人のうち事業の規模が特に大きいものとして政令で指定された特定国立大学法人(東北大学、東京大学、東海国立大学機構、京都大学及び大阪大学)に設置することが義務付けられる(国大法人21条の2・21条の3)2)。ガバナンス改革のほかに、今般の改正により、国立大学法人等の長期借入・債権発行の対象経費拡大、土地等の貸付に係る認可制から届出制への変更(規制改革)及び東京医科歯科大学と東京工業大学の統合(法人の統合)も行われた3)。本稿では、ガバナンス改革の要諦である運営方針会議を主に検討するが、その前に大学組織に関する基準であるべき学問の自由・大学の自治について近年の議論の動向を確認する。¶001