FONT SIZE
S
M
L

 事実の概要 

X社(原告)は、有料老人ホームの経営等を目的とする株式会社であり、取締役会設置会社である。X社の株式は、平成28年5月まではY(被告)に、同月以降はA社によって保有されていた。¶001

Yは、X社の取締役在任中から「会長」と呼ばれ、重要な業務執行を決定し、X社の印鑑や銀行カードなども管理していた。また、Yは、A社の代表取締役かつA社株式全部を保有する株主でもあった。¶002

X社は、第12期から第18期の事業年度において、株主総会や取締役会の招集手続等について会社法所定の手続をとっていなかった。Yやその他の取締役の了解を得た上で作成された株主総会議事録には、役員報酬額の総額を年額3億5000万円以内とし、その配分方法を取締役会に一任することを承認可決した旨が記載されていた。また、Yが、毎年10月頃にX社の各取締役の月額報酬を決定し、その内容は、他の取締役の了解を得た上で取締役会議事録に記載されていた。¶003