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本決定は、訴因に記載された事実と公訴事実の同一性に欠ける事実を追加する訴因変更請求がなされた場合に、その時点で、請求に示される事実について公訴時効の進行が停止するとしたものである。

検察官は、被告人を、出資法(平成11年法律155号による改正前のもの)5条2項違反事件(制限超過利息受領行為)1件について起訴した後、当該事件と同時期に反復累行された同条項違反の事実20件を追加する内容の訴因変更請求をした。第1審裁判所は、いったんこれを許可した後、この訴因変更許可決定は不適法として取り消したため、検察官は追加分の事実について追起訴したが、第1審は、追起訴された事実については公訴時効の完成を認め被告人に免訴を言い渡した。これに対して原審は、遅くとも訴因変更が許可された時点で、訴因変更請求を刑訴法254条1項の「公訴の提起」と同視することができ、同規定が準用されて公訴時効の進行が停止するとして、追起訴された事実について公訴時効の完成を認めず、第1審判決を破棄し、自判して被告人を有罪とした。

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