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事実の概要

被告人は妻Aと共謀してBから拳銃および実包3発を譲り受け所持した罪で逮捕、勾留され、当初は共謀を否認していたが、勾留中の取調べにより詳細な自白をするに至った。裁判所の認定によれば、自白に至る経過は概ね次のとおりである。被告人は、逮捕日の午前中、警察署で取調べを受けた際、本件犯行を否認していた。同日、本件拳銃等の捜索差押えがなされた後は、一応概括的に犯行を認める態度をとるに至ったが、翌日再び、警察署で取調べを受けるや、拳銃等はAが勝手に買ったもので、被告人はそんなものは返せといっておいた旨述べて否認した。検察庁送致後は再び概括的に犯行を認める態度をとり、その5日後C検事の取調べを受け、初めて本件犯行を詳細に自白した。この時のC検事の取調べは、次のようないわゆる切り違え尋問方式によるものであった。即ち、C検事は、被告人に対し、実際はAが右共謀関係を自供していないにもかかわらず、Aが自供したとの虚偽の事実を告げ、このままでは2人とも処罰されるだろうと錯誤させ、家庭崩壊の不安を起こさせた上で、判旨記載のように語って自白を説得したところ、まもなく被告人は右共謀関係を認めるに至った。そこで、被告人をAと交替させて、Aに対し、被告人が共謀を認めている旨告げて説得すると、Aも被告人との共謀関係を認めたので、直ちにその調書を取り、さらにAを被告人と交替させて、被告人に対し、Aも共謀を認めているが間違いないかと再確認した上でその調書を取った。C検事より連絡指示を受けたD警部補が、翌日に被告人およびAを取り調べ直すと、検察庁におけると同様、両名とも共謀の事実を詳細に認めたことから、同日付で両名の供述調書を作成した。¶001