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事実の概要

大学内で発生した内ゲバ事件について被告人X、同Y・Zが各逮捕された状況を、原判決(東京高判平成5・4・28高刑集46巻2号44頁)は、おおむね以下のように認定していた。¶001

警察官A・Bが派出所において勤務中、約4 km離れた大学構内で内ゲバ事件が発生し、犯人が逃走中であるなどの無線情報を受け、逃走犯人を警戒していたところ、本件犯行終了から約1時間後、一見活動家風の男とXが息を切らし、辺りを見回しながら、同派出所前の車道から歩道に小走りに上がってきて、XはBと視線が合うや、瞬間目をそらし、連れの男とともに別方向に小走りで駆けて行った。Bは、当日朝からの小雨にもかかわらず、2人とも傘を持たず、着衣が濡れており、靴も泥で汚れていること、犯人が付近に現れる頃合いであったことなどから、2人を本件に関係する不審者と認め、職務質問を行うために2人の後を追った。Bが派出所から約20 mの地点で約10 m先にいた2人に制止するよう呼びかけたところ、2人は二手に分かれ、小走りを続けた。BはXの追尾を続け、さらに約50 m進んだ地点で追いつき、後方からXの左肩に手を当て停止させ、本件について職務質問を開始した。すると、Xは一瞬顔色を変え、無関係だと言って、Bの制止を振り切り、所持する買い物袋を投げ捨て、駆け出して行った。Bは約300 m追跡してXに追いつき、職務質問を再開したところ、Xは両手を振り回して抵抗し、Bともみ合いになった。その際、Xが右腕に籠手を装着していたのが見えたため、Bはこれまでの言動などとあわせXを本件犯人と判断し、応援の警察官らとともに、Xを準現行犯人として逮捕した。¶002