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事実の概要

(1)

本件被告人Xから捜査協力者Aに対して、大麻樹脂の買手を紹介してくれるよう依頼があり、Aがその旨を麻薬取締官事務所に連絡した。その時点までAがXに大麻樹脂の取引に関する働き掛けをしたことはなかった。Aの情報からは、Xの住居等立ち回り先や大麻樹脂の隠匿場所等を把握できず、他の捜査手法により証拠を収集しXを検挙するのは困難であったため、同事務所はおとり捜査を行うことを決し、AがXに麻薬取締官を買手と称して紹介することとした。A立ち会いのもと、ホテルの一室でXと買手を装った麻薬取締官が面会し、翌日にXが大麻樹脂を持参し取引を行うこととされた。翌日Xが大麻樹脂2 kgを同室内に運び入れたところ、あらかじめ発付されていた捜索差押許可状により捜索が実行され、大麻樹脂が発見されたため、Xは大麻所持の現行犯人として逮捕された。Xは、これは違法なおとり捜査であり、それに基づき発見された証拠は違法収集証拠として排除されるべきであると主張した。¶001