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Ⅰ はじめに

本稿で論じるのは、生成AIの学習用データとして著作物を利用することが著作権の侵害となるのはどのような場合かである。ここで言う学習用データとしての利用には、基盤モデルを作成する際の学習のみならず、基盤モデルに対して追加学習を行い(いわゆるLoRAなど)生成AIをファインチューニングする行為も含まれる。¶001

周知のとおり著作権法(以下、法律名は省略)30条の4は、「情報解析」の用に供する場合、あるいは、享受を目的としない場合に、著作物の利用を広く認めている。生成AIの学習のための利用は、一般に「情報解析」に該当すると解されるため、日本法の下では、機械学習のための利用は基本的にすべて許容されるようにも思われ、日本は「機械学習パラダイス」であると言われている1)¶002