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事実の概要

本件は、A市の市長であったY(被告・被控訴人・被上告人)が、県職員の接待に係る費用を公金たる市の交際費から違法に支出したことにより同市に損害を与えたとして、同市の住民ら(原告・控訴人・上告人)が、当時の地方自治法(平成14年改正前のもの〔以下「法」といい、当該改正前の規定を特に指す場合は「旧法」という〕)242条の2第1項4号の規定に基づき、同市に代位して、Yに対し上記損害の賠償を請求した住民訴訟(代位請求訴訟)である。第1審(千葉地判昭和58・2・18判時1084号61頁)が当該請求を棄却したのに対して、原審(東京高判昭和58・8・30判時1090号109頁)は本件訴えを不適法却下した。上告審において主たる争点となったのは、旧法243条の2(現行法243条の2の2)が、代位請求訴訟とは別に、行政内部の手続き(長の賠償命令等)により特定の職員の賠償責任を追及するルートを設けているところ、同規定が同条第1項の対象職員に対する代位請求訴訟を排除する趣旨を含むか、また、当該対象職員に当該地方公共団体の長が含まれるか、という点であった(原審はいずれも肯定)。¶001