事実の概要
A県は、デンマークのチボリ公園を模範とした公園の建設を計画し、公園の建設、管理運営のため民間会社等と共同出資で株式会社Y1を設立した(第三セクター方式と呼ばれるもの)。平成2年2月20日、県は、県職員をY1に派遣して業務に従事させるとともに派遣職員の給与等を県の負担とすること等を定めた協定をY1と締結し、その後、毎年これと同趣旨の協定(「本件協定」)を締結し、平成9年3月31日までの間、職員派遣および給与等の支出を継続した(この職員派遣を「本件職員派遣」、派遣された職員を「本件派遣職員」とする)。A県知事Y2(平成8年11月12日以降はその後任者)は、本件職員派遣にあたり、職務に専念する義務の特例に関する条例(「本件免除条例」)2条3号、それを受けた、人事委員会規則である職務に専念する義務の特例に関する規則(「本件免除規則」)2条2号に基づき、本件派遣職員の職務専念義務を免除(「本件職務専念義務の免除」)するとともに、これに併せて、A県職員給与条例(「本件給与条例」)14条に基づく勤務しないことについての承認(「本件承認」)を黙示的にしていた。A県の住民Xらは、本件派遣職員への給与支出は違法であると主張して、地方自治法(平成14年法律4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき、Y2に対しては損害賠償を、Y1に対しては不当利得の返還を求めた。第一審岡山地判平成8・2・27(判時1586号64頁)、原審広島高岡山支判平成13・6・28(判自224号62頁)は、ともに、給与支出を違法とし、本件協定を無効として不当利得返還請求を一部認めたが、損害賠償請求については棄却した。Xら、Y1はともに上告受理申立て。¶001