FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

Xは、売春の目的で、大阪市内の路上において通行人Aを誘ったとして、大阪市の「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」(昭和25年大阪市条例68号)2条1項違反の罪で起訴され、第1審(大阪簡判昭和31・3・15刑集〔参〕16巻5号601頁)、および控訴審(大阪高判昭和31・10・18同刑集〔参〕605頁)で有罪判決を受け、上告した。上告理由は、要するに、同条例の根拠となっている地方自治法14条1項(平成11年法律87号による改正前のもの)は、「第2条第2項の事務」(その内容は2条3項各号に例示があり、7号に「清掃、消毒、美化、公害の防止、風俗又は清潔を汚す行為の制限その他の環境の整備保全、保健衛生及び風俗のじゅん化に関する事項を処理すること」、1号に「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」とある)に関し条例を制定することができるとし、同条5項で条例違反に対し罰則を科すことができるとしているところ、このような抽象的で不特定な事項につき罰則制定権を条例に付与することは憲法31条の罪刑法定主義に反するというものである。¶001