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事実の概要

Y(宇治市―被告・控訴人)は、住民基本台帳のデータ(以下「本件データ」という)を使用して乳幼児健診システムを開発することとし、その開発業務をA社に委託した。しかし、B社がすでに京都府の委託により乳幼児健診システムの開発を手がけていたことから、Yは、A・B両社に協議を依頼し、その結果、A社は本件開発業務をB社に再委託し、Yもこれを承認した。B社はC社に対して同開発業務を再々委託し、C社の社員およびアルバイト従業員TはYの庁舎内で本件開発業務に従事するようになったが、B社は再々委託の事実をYには知らせなかった。Tは、Yから本件データの持ち出しの承諾を得て、当該データを自己の光磁気ディスク(MO)にコピーし、名簿販売業者D社に販売した。平成11年5月ごろ、本件データが外部に流出しているとの記事が大きく報道されたため、Yは、D社や本件データを購入した複数の業者に対して販売停止・データの廃棄等を要請した。Xら(宇治市住民―原告・被控訴人)は、本件データに含まれる自己の個人情報を第三者に販売され、ホームページ上で誰でも購入することができる状態に置かれたことにより精神的苦痛を被ったとして、Yに対して国家賠償法1条または民法715条に基づき損害賠償を求めた。第1審(京都地判平成13・2・23判自〔参〕265号17頁)が請求を一部認容したことをうけ、Yが控訴した。¶001