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事実の概要

東京都の特別区においては、昭和21年東京都制一部改正によって区長公選制が採用されたが、都区間の紛争の多発による一体的行政の遂行への支障等から、昭和27年地方自治法(以下「法」という)改正によって、区長公選制は廃止され、特別区の議会が都知事の同意を得て区長を選任する制度に改められた。この区長選任制の下における昭和32年、Xら(被告人)は、渋谷区議会における区長の選任に関し、金銭の提供・収受を行ったため、贈収賄罪の被告人として起訴された。1審判決(東京地判昭和37・2・26下刑集4巻1=2号157頁)は、特別区は憲法93条2項にいう地方公共団体に該当するから、区長選任制を定める法の規定は憲法に違反し、したがって、渋谷区議会議員は区長を選任する職務権限を有さず、Xらの行為は贈収賄罪にあたらないとして、無罪を言い渡した。これに対し、検察側が跳躍上告を行った。¶001