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事実の概要

やや複雑な事案であるので、簡略化して紹介する。¶001

X(原告・被控訴人・上告人)は、Y(被告・控訴人・被上告人)に対して、昭和42年12月9日にYとの間で、本件土地の売買契約を締結したと主張して、売買契約に基づく本件土地の所有権移転登記手続を求めて訴えを提起した(なお、Xは本件土地について処分禁止の仮処分の登記を経由している)。第一審(京都地裁)は、X・Y間の売買契約の締結が認められるとして、Xの請求を認容した。Yが大阪高裁に控訴したところ、控訴審において、Z(参加人・被上告人)が、Yに対しては、本件土地の所有権移転請求権保全の仮登記に基づく本登記手続請求を、Xに対しては、この本登記手続の承諾請求を、それぞれ定立して、独立当事者参加(権利主張参加)の申出をした。この参加申出に際して、Zは、昭和42年10月26日、Yとの間で本件土地の売買の一方の予約をし、昭和49年11月13日、本件土地について所有権移転請求権保全の仮登記を経由し、昭和56年6月24日に、Yに対して予約完結の意思表示をした、と主張した。これに対して、Xは、独立当事者参加の申出の要件の充足を争うとともに、Z・Y間の売買の一方の予約は通謀虚偽表示であると主張した。控訴審(原審)は、Zの独立当事者参加は適法であるとした上で、Zの主張を全て認めるとともに、Xの通謀虚偽表示の主張を退けて、ZのXとY双方に対する請求を認容した。また、Xの請求については、三者間の請求について矛盾のない判決をすることを目的とする独立当事者参加の構造から考えて、XはZに対して所有権を対抗できない以上、Yとの関係でも所有権を前提とする請求をすることができなくなるので、Xの事実主張の当否を判断するまでもなく、Xの請求を認容する余地はないとして、Xの請求を棄却した。¶002