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事実の概要
Y1(被告・控訴人・被上告人)は、X(原告・被控訴人・上告人)からX所有建物の一部を賃借していたが、その後Y1は、Xに無断でY2(被告・控訴人・被上告人)を同居させた。そこでXはY1およびY2に対し、その占有する部屋からの退去・本件建物の明渡請求をし、その交渉中の昭和25年10月21日、Xは訴外AとY1を訪ね、両者間に前記賃貸借契約解除の合意が成立し、Y1はY2とともに同26年3月末限りで上記部屋の退去および建物明渡しを約した。ところが猶予期限が過ぎても退去しないと主張するため、XはY1に対して賃貸借契約の合意解除に基づき、Y2に対しては本件建物所有権に基づいて、上記部屋の退去および本件建物の明渡しを求める本訴を提起した。これに対し、Y1・Y2はXと賃貸借の合意解除や明渡しの約束をした事実はないなどと主張し、第1審におけるY1本人尋問の結果等を証拠として援用した。なお、Y1は昭和27年11月18日に脳溢血に罹り、以来右半身麻痺の寝たきりとなったため、Y1の本人尋問は臨床尋問の方法で行われたが、Y側の主尋問が終わった時点で、立会医師の勧告によって途中で打ち切られ、X側には反対尋問の機会が与えられなかった。¶001