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事実の概要
X(原告・被控訴人・被上告人)は、本件土地を訴外Aに賃貸し、Aはその地上に本件家屋を所有していたが、本件家屋はAから訴外B、Y(被告・控訴人・上告人)に順次譲渡された。Xは、借地権の譲渡を承諾しておらず、Yは何らの権原なく本件土地を占有しているとして、家屋収去土地明渡請求の訴えを提起した。第1審は、Xの請求を認容し、Yが控訴した。控訴審においてYが、借地法10条(現借地借家法14条)に基づく建物買取請求権の行使を主張したので、Xは予備的に土地・家屋の明渡請求を追加するとともに、Yに対し過去2度にわたり本件家屋の買取請求権の行使を催告し、さらに本件訴訟が第1審において調停に付されたときにも本件家屋の買取りを申し出たが、Yはいずれにも応じなかったから、買取請求権行使の主張は信義誠実の原則に反すると主張した。控訴審は、Yの建物買取請求を適法と認めて、原判決を取り消し、Xの予備的請求のうち家屋明渡しを認容した。これに対してYは、買取請求の意思表示とXの予備的請求棄却の申立ては、留置権行使の意思表示を包含すること、買取請求権行使の結果として、同時履行の抗弁権または留置権が存在するか否か、その行使をするかどうかについて釈明すべきこと等を主張して上告した。¶001