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事実の概要
被相続人Aは昭和58年12月10日に死亡し、法定相続人として、後妻Y1、先妻亡Bとの間に生まれたX(原告・控訴人・上告人)、Y2、Y3、またY1との間に生まれたY4~Y8、そして、Y8の夫で、AとY1の養子となっていたY9の合計10名がいた(Y1~Y9が被告・被控訴人・被上告人である)。Aは主たる相続財産である土地をY8とY9に遺贈する旨の自筆証書遺言を残していたが(同遺言は昭和56年8月30日付けで、昭和59年1月23日に仙台家裁気仙沼支部で検認されている)、同遺言がカーボン複写の方法で記載されたB5判罫紙4枚を合綴したものであり、また4枚目がY1名義の遺言であったことなどから、Xは、①本件遺言書には筆跡等の面で不自然な部分があり、Aが「その全文」を自書したものではない、②カーボン複写によって記された本件遺言書は「自書」とはいえない(以上、民968条1項)、③たとえ全文がAの自書であっても、4枚目はY1名義のものであるから、共同遺言に当たるとして(民975条)、遺言無効確認の訴えを提起した(③の主張は、表題と直接関係しないので、以下では取り上げないが、いずれの審級においてもしりぞけられている)。¶001