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事実の概要

訴外A(事故当時14歳の女子)は、自転車で国道を通行中、Y社(被告・控訴人・被上告人)保有の大型貨物自動車に追突され死亡した。そこでAの両親Xら(原告・被控訴人・上告人)が、Yに対して不法行為による損害賠償を求めた。第1審(長野地木曽支判昭和57・3・26交民集〔参〕20巻1号6頁)は、Aの逸失利益として、賃金センサスの女子労働者、旧中・新高卒の平均給与額に、Aの家事労働分として年間60万円を加えた額を基礎収入として(生活費控除率は40%)、2331万1866円を認定した。これにAおよびXらの慰謝料などを加え、Xらが受領した自賠責保険の保険金を控除した額の支払をYに命じた。Yが控訴。原審(東京高判昭和57・12・20前掲交民集〔参〕10頁)は、AおよびXらの慰謝料は第1審と同一の額を認めたが、Aの逸失利益については、Aが満18歳から67歳まで専業として職に就き適時に婚姻するという仮定の下で、女子労働者、旧中・新高卒の平均給与額を基礎収入とするにとどまり、家事労働分は加算せず(生活費控除率は35%)、1948万5187円を認定するにとどまった。Xらが、Aの逸失利益の算定にあたり家事労働分を加算すべきであると主張して上告。¶001