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事実の概要

昭和30年9月6日、X(当時3歳、原告・控訴人・上告人)はY(国―被告・被控訴人・被上告人)の経営する東京大学医学部附属病院小児科に化膿性髄膜炎の診断で入院した。Xは、当初は眼球上転、項部強直、緊張性・間代性けいれんが頻発する重篤な状態であったが、治療に伴い改善し、同月15日には髄膜炎症状も残るものの投与薬剤の減量が可能となった。この間、連日ルンバールによる髄液採取やペニシリンの髄腔内注入が行われた。ところが、同月17日のルンバール実施後にXは突然嘔吐を始め、2時間後に激しいけいれんを伴う意識混濁(以下「本件発作」)を生じ、最終的に右半身不全麻痺、知能障害等の後遺症が生じた。これに対しXが、食後間もなくルンバールを実施した医師Aと、Xの嘔吐後に問題なしと判断した担当主任医師Bの治療上・指導上の過失等を主張し、Yに対し不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償を請求した。¶001