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事実の概要
本件は、X(原告・被控訴人・被上告人)との間で取引のあるAのB銀行預金口座への振込を、C銀行の甲支店にXが委託しようとしたところ、Xは誤って、以前Xとの取引があったが現在は取引関係がなく、かつ、仮名での読みがAと同じA’名義のC銀行乙支店口座への振込委託をした事案である。つまり、XからA’への振込に正当な原因関係がなく、かつ、XからC銀行への振込委託に錯誤がある事案である。その後、C銀行はXの委託に従い、A’の預金口座に入金記帳をしたところ、A’に対して金銭債権を持つY(被告・控訴人・上告人)がA’の当該口座を差し押さえた。そこで、Xは、Yに対して、本件振込部分にかかる預金部分につき目的物の譲渡または引渡しを妨げる権利があるとして、民事執行法38条1項に基づき、第三者異議の訴えを提起した。¶001