事実の概要
O部落は名称変更等を経ながらも同一地域において江戸時代以来の慣習を維持してきた生活共同体であり、O部落民は別紙物件目録記載の土地(以下、本件土地)を含む山林・田畑等の不動産(以下、本件共同財産)を入会地として管理してきた。本件土地は大正3年に訴外Aを含む当時の部落の戸主全員の共有名義で登記された。江戸時代以来の慣習によれば、O部落の土地の共同所有権を取得するには部落内に一定期間居住し、部落の役務に従事する必要がある。また、同共同所有権は相続人以外に譲渡できず、部落外に転出すれば同共同所有権を当然に失う。これらの慣習は大正3年に当時のO部落の戸主全員により確認されている。昭和48年12月16日、O部落民は、転入者の増加に伴って共同財産の管理に混乱が生じるのを防止するため、部落民全員の合意により、旧来の慣習をもとに規約を制定して、X1(O部落有財産管理組合―原告・被控訴人・上告人)を設立した(名称は、同52年12月24日の改正規約による)。同規約には、本件土地を含む共同財産等をX1の財産とすることのほか、O部落民を中心として転入者にも構成員資格を認めること、構成員全員から成る総会が共同財産の管理処分を決定し、役員を選任すること、X1の代表役員の権限等が定められた。その後、昭和52年の前掲改正規約により、転出者は構成員資格を喪失すること、本件共同財産からの収益はX1の歳入とし、支出は財産管理・部落民の福祉・部落の共益のためにのみできること等が定められた。¶001