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事実の概要

木材商であるX(原告・被控訴人・上告人)は、取引上の債務を弁済するため、昭和24年5月29日、Y(被告・控訴人・被上告人)から7万8000円(弁済期同年8月29日、利息月5分)を借り受け、公正証書作成のためYに白紙委任状と印鑑証明書を交付した。ところが、Yは勝手に利息・手数料等を組み入れて元本を10万9080円、遅延損害金を日歩70銭とする公正証書を作成した。Xは弁済期到来後も弁済せずにいたが、昭和33年3月7日付けの手紙で、Yに対し、本件借用金を元金だけに負けてもらいたい、そうしてくれると同年中に何とかして4、5回位に分割してこれを支払う旨を申し入れた。しかし、Yは、昭和34年7月25日、上記公正証書に基づいて、227万円余の債権を有するとして、X所有の有体動産に対して強制執行をしてきた。そこで、Xは、本件請求異議の訴え(民訴旧562条。民執35条参照)を提起し、同証書は白紙委任状の濫用によるものであり、また、本件債務は商事債務として5年(商旧522条)の時効により消滅したと主張した。¶001