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事実の概要

A会社は、勧誘外交員を使用して一般人を勧誘し、金融機関の預金より高い利息で金員を借り入れて、高利で貸し付けるのを業として行っていた。Y(被告・被控訴人・上告人)はその地方で相当の財産を有し、昭和28年3月頃A会社に20万円を預金してA会社の勧誘員となったが、健康上の理由で自らは勧誘行為を行わず、事実上、その長男であるSに一切を委ねており、A会社豊岡支店備付けの配当表支払明細帳にY契約欄が設けられていて、Yの勧誘取扱いにより成立した借入契約を明らかにしていた。同年7月頃YはA会社須田出張所長となり、X(原告・控訴人・被上告人)はSの勧誘により、A会社に対して同年7月中に合計30万円を各返済期を6か月後として、Yの保証名義の下に貸し付けた。その後、Sの勧誘によりA会社豊岡支店長も立会いのうえで、前掲貸借をそのまま再契約することとした。そこで、Xは金員の授受を省略し、従前契約の各満期である昭和29年1月中に合計30万円を、再びA会社に返済期を各貸付日より6か月後として貸し付けた。その後、同年1月中に、本件貸付債務についてYが保証をする旨の保証契約証が差し入れられたが、これはYが関知しない間に、SがXからの求めに応じて、Yの印鑑を使用し、Yの氏名を冒用して作成したものであった。なお、同年1月27日、BがSの勧誘に基づきA会社に3万円を貸与し、Yがその保証をした旨の証書をBに差し入れ、Yがそのうち2万円を返済したこともあった。その後、XのYに対する保証債務の履行請求に対して、Yは、当該保証について一切関知せず、Sが勝手に行ったものであるとして履行を拒んだ。¶001