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事実の概要
X(原告=反訴被告・被控訴人・被上告人)は、昭和27年11月、訴外Aから、2筆の隣接する土地甲・乙と、各土地上の建物丙・丁(事実上は1棟の建物)を、125万円で買い受け、所有権移転登記を経由した。代金のうち70万円は、Xと情交関係にあった訴外Bから援助を受けた。¶001
昭和28年6月4日、Bは、Xの実印と甲・丙の権利証をXに無断で使用し、X・B間の売買を原因とする不実の所有権移転登記を経由した。Xはただちにこの事実を知り、Bは謝罪して登記名義の回復を約束した。翌5日、両者は名義回復手続のために司法書士のもとを訪れたが、登記費用の捻出が困難であることがわかり、時機をみて将来実行することとした。その後、昭和29年7月30日に両者は婚姻届を提出し、昭和31年6月頃から同居するようになった関係もあり、名義回復はされないままとなっていた。同年11月12日、Xと訴外C相互銀行との間で貸付契約を締結するにあたって、B名義のままでCの根抵当権設定登記がされた。¶002