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Ⅰ はじめに
経済産業省は、2022年11月から「公正な買収の在り方に関する研究会」を設置し、上場会社の経営支配権を取得する買収取引を巡る当事者の行動の在り方を中心に検討を行い、その議論も踏まえ、2023年8月末に「企業買収における行動指針」(以下「本指針」という)を策定・公表した。¶001
日本のM&A市場においては、公開買付制度などの法制度や判例法理に加え、ソフトローによって一定の規律が働くことにより、変化に柔軟に対応してきた面がある。経済産業省はこれまで、買収に関連する準則を示し、関係者に対する予見可能性をもたらすことを通じて公正なM&A市場を実現すべく取り組んでおり、本指針もこの系譜に連なるものである。¶002