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Ⅰ はじめに――不正競争防止法2条1項3号(デッド・コピー規制)の実務的な意義

山本では、早速でございますが、不正競争防止法2条1項3号、デッド・コピー規制によるファッションデザイン保護ということで、報告させていただきます。¶001

ファッションデザインの中でも、特に衣服はライフサイクルが短く、デザイン・商品数が多数であることが多いかと思います。そのため、すべてのデザインにつき意匠登録コストをかけることは非現実的なのではないかということは、すでに数多く指摘されているところです。新規性喪失例外の規定(意匠4条2項)が半年から1年に延びたことで、ある程度は、市場テストを経てから出願するということも可能にはなったとは思いますが、とはいえ、まだ意匠権による保護というのはなかなか難しい側面も多いのではないかというところです。そのため、デザイン保護については、意匠権、不競法2条1項3号、あとは、標識法、著作権など、いろいろな保護を検討しうるものの、まず意匠権による保護は、特に衣服についてはなかなか難しい面もあるのではないかと思います。著作権については前回のテーマで(本連載第4回~第7回)、田村さんのご報告を基に議論がすでに終わったところかと思いますが、少なくとも日本ではそんなに保護が期待できないのではないか。標識法の議論は、まだこれからというところかと思いますが、それなりのハードルが必要だということにはなろうかと思います。ということで、ファッションデザインの中でも特に衣服デザインについては、不競法2条1項3号が重要であると言われているように思います。¶002