FONT SIZE
S
M
L

Ⅰ 本稿の目的と構成

本稿は、いわゆる第2次金沢市庁舎前広場事件1)の上告審判決(最判令和5・2・21裁判所Web〔令和3年(オ)第1617号〕)の内容を分析し、問題点を整理するものである。以下、まず事案の概要と判旨を確認したうえで()、その内容を分析する()。そして最後に、本判決の射程について、若干の考察を行う()。¶001

Ⅱ 本判決の概要

1 事案

X₁(原告・控訴人・上告人)は、日本国憲法の改悪に反対し、憲法を守ることを目的として設立された権利能力なき社団であり、X₂、X₃(同)はいずれもX₁の代表委員であった者である(以下X₁~X₃をあわせて「Xら」という)。X₁は、Y市(被告・被控訴人・被上告人)の市長の管理に属するY市庁舎前広場(以下「本件広場」という)において、「憲法施行70周年集会」を開催するため、Y市庁舎等管理規則(以下「本件規則」という)6条1項に基づき許可を申請した。これに対してY市長は、本件規則5条12号および14号に定める禁止行為に該当するとして、当該申請に対して不許可処分を行った(以下「本件不許可処分」という)。そこでXらは、Y市に対して、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償請求を行った。¶002