Ⅰ 本稿の目的
集会の自由をめぐる最高裁判所の姿勢について、屋内集会については手厚い保障が図られている一方で、屋外集会については規制が認められやすい傾向にあるとの認識は、憲法学においてある程度共有されているといってよいであろう1)。したがって、屋外集会も手厚く保障されるような解釈を構築することは、現在の憲法学にとって大きな課題となっている2)。この点について考える良い素材となると思われるのが、本判決(最判令和5・2・21裁判所Web〔令和3年(オ)第1617号〕)である。¶001
最高裁令和5年2月21日第三小法廷判決 同一判例の掲載記事一覧にジャンプ
集会を目的とした金沢市庁舎前広場の使用許可申請に対する不許可処分をめぐる2次にわたる訴訟において、裁判所は広場が「公用物」であることを主たる理由として処分を合憲・合法と判断した。確かに、現在の法制度を前提とすると、地方公共団体の公用物利用許可についての裁量は広く認められている。しかし、現在の最高裁判所は、屋内集会には比較的手厚い保護を認める一方で、市庁舎前広場のような屋外の公共施設における集会に対しては規制を容認する傾向にあり、屋外集会の手厚い保障を導く議論の構築は憲法学の課題となっている。ここでは、金沢市庁舎前広場をめぐる第2次訴訟の最高裁判決を契機に、よく知られたパブリック・フォーラム論とともに、集会の自由の本質を問い直すアプローチを参照して、この課題の解決可能性を探る。
集会の自由をめぐる最高裁判所の姿勢について、屋内集会については手厚い保障が図られている一方で、屋外集会については規制が認められやすい傾向にあるとの認識は、憲法学においてある程度共有されているといってよいであろう1)。したがって、屋外集会も手厚く保障されるような解釈を構築することは、現在の憲法学にとって大きな課題となっている2)。この点について考える良い素材となると思われるのが、本判決(最判令和5・2・21裁判所Web〔令和3年(オ)第1617号〕)である。¶001