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本稿に与えられたテーマである「憲法判断の方法」をめぐっては、「各々の方法に関する論者の理解には微妙なニュアンスの違い」はあるものの「さほど深刻な意見の対立はない」1)とも言われていた。しかし近年、法令違憲・適用違憲・処分違憲といった憲法判断の方法(違憲判断の方法)は、文面審査(法令一般審査)・適用審査・処分審査といった違憲審査の方法・範囲の問題や、適用審査優先原則、合憲限定解釈あるいは憲法適合的解釈といった問題と関連づけられながら、議論が進んでいる2)。近時の議論に本稿筆者が新たに付け加えるべきものはない一方で、立法不作為に関しては、その合憲性審査の「うつわ」を提供する訴訟手続と違憲とされた場合の救済方法3)は別にして、憲法判断の方法については近年の議論でも充分に取り上げられていないように見える4)。そのような中、在外国民の国民審査権に関する最高裁判決(最大判令和4・5・25民集76巻4号711頁〔以下「2022年判決」〕)が下されたこともあり、近時の(裁)判例を素材に立法不作為の憲法判断の方法について本稿では取り上げたい。立法不作為については、「国家賠償請求訴訟や、最近では公法上の当事者訴訟といった争い方から逆に規定されている」5)こともあり、以下では本稿でも便宜上ひとまず「争い方」(「うつわ」)で分けて検討する。¶001