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Ⅰ はじめに

日本国憲法81条が裁判所に付与した違憲審査権について「司法権の統合された本質的部分」と解すべきことが提唱されている1)。行政訴訟において行政が法によって規律されていることが重視されてきたのと同様に、憲法訴訟においては、統治に関わる権限が憲法によって規律されていることが重視されるべきである。¶001

付随審査制をとる我が国にあって、かかる規律のあり方は、憲法判断に踏み込むか否かも含め、裁判所の裁量に委ねられている側面が大きい2)。本稿では、筆者が最近公にした「憲法9条と『法的保護に値する利益』に関する一考察」3)と題する論考(以下「前稿」)を踏まえ、憲法による統治の規律を、憲法論としての「権利の救済」に引き直して考えてみたい。¶002